眩しい笑顔 [自言自語]
「明日の朝、写真を撮りに行きませんか?」
電話があった時、正直言って私はあまり気がのらなかった。
このところ疲れていたので、翌日は午前中いっぱい寝ているつもりだった。
待ち合わせは夜明け前の5時30分。
久しぶりに早起きして外へ出てみると思いのほか気持ちいい。
まるで錆付いた自転車に油を注したかのように、最初は重く、そして次第に軽く。
カメラを手にしたばかりのその人はその性格のとおり素直に写真を撮る。
最近、あれこれと考え過ぎる自分を冷やかしながら、私はその人にカメラを向ける。
照れ屋なので撮らせてくれなかったが、その笑顔は10月の朝の澄んだ光よりも眩しかった。
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