懐かしい場所

前回帰国した際、予め注文しておいたオートバイを引き取りに行った。

昔から馴染みのバイク屋で、今では息子が二代目として立派に後を継いでいる。

そのバイク屋は私の実家からそれほど遠くない所にある。

私は実家に近い私鉄の駅で電車から降り、左手にはヘルメットを持ち、右肩にはR-D1を
引っ掛けて、散歩がてら子供の頃遊んだ神社を通り抜けてバイク屋まで行くことにした。

踏切を渡り、線路脇の坂道を下り、片側一車線の幹線道路に出てから狭い歩道をしばらく
歩き、途中で反対側に渡ってから鳥居のある路地に入った。

神社の境内の前にある公園に咲く桜の花はすでに散りはじめていていた。

そういえば、先日他界した父親の机の引き出しから出てきたという写真の中に、ここで撮影
したものが数枚あった。

私の記憶には定着していなかった出来事が白と黒の記憶としてそこに残されていた。

近くを流れる小さな川の方から子供たちの声が聞こえてくる。

コンクリートの橋まで来てみると、学校帰りの小学生が川に入って遊んでいた。

ずっと忘れていた過去が目の前で再現されているようだった。

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