冬枯れの街 [街]
この冬、まったくと言っていいほど雪が降らない。
冬枯れた街はあまりにも殺風景で、街全体が澱んで見える。
南湖に張った氷の上には雪のかわりに埃が積り、
そこに冬の日差しが反射すると廃墟の割れた窓ガラスのような鈍い色を放つ。
人通りの途絶えた夜の街を歩くのが習慣になった。
歩き続けてさえいれば凍てつく空気もまた心地よい。
この頃はバッハのパルティータとベートーヴェンの晩年のピアノソナタばかり聴いている。
パルティータは2番と6番、ソナタは30番と31番、そして32番。
演奏はグレン・グールドで。
いずれも冬に似合う曲だと思う。
長春・新疆街
吉林・日帰りツアー その3 [街]
いよいよ大詰め、長白山酒業のワイナリーに向かいます。
ワイナリーは吉林市から東に向かって約80kmの蛟河市(Jiao He)にあります。
松花江を後にして出発。
1936年創業の长白山酒业集团有限公司
HP: http://www.cbsgroup.cn/home.asp
ワイナリーの敷地内には引き込み線が。
主発酵行程のタンク(下部)
主発酵行程の上部
こうして見ると、ここでワインが造られているとは思えない雰囲気。
責任者の張工場長。 工場内をl詳しく、そして丁寧に案内してくれました。
歴史を感じさせる木樽
さて、これは何でしょう?
今から80年ほど前の二次発酵タンク。
実はこれ、1930年代に日本が作ったものらしいです。
「日本醸造機械株式会社製造 灘・興野」とあります。
地下一階の保管庫
瓶詰めされたワインは一定の温度で保存されています。ん~、飲みたいなぁ。
二次発酵の樽
暖かくもなく寒くもなく、程好い温度に保たれたワインセラー。
ところどころワインが滲み出しています。
樽に表示された番号
薄暗いセラーには「アジア最大のセラー」と彫ってあります。
歴代のワインが展示されています。右の写真、ラベルに「putao」と書いてありますが、それは「葡萄」のこと。中国語ではワインのことを一般に「葡萄酒」(Pu Tao Jiu)と言います。
また色が赤いことから「紅酒」(Hong Jiu)とも言います。
ラベルに書いてある「半甜型」とはいわゆる「甘口」のワイン。 「半甜型」は思いっきり砂糖の味がすることが多く、「半」どころか超甘い。
試飲コーナー
「干紅」と呼ばれるワインがいわゆる辛口のドライワイン。
「半甜型」は女性に人気だそうですが、やはりワイン好きにとって美味しいのは干紅でしょう。
不思議なことに中国ワインが「シロ」少ないような気がします。たまに見つけて買ってみると……「半甜型」で(@∑@;)です。
そういえば、名物のアイス・ワインを飲みたいなぁ。
窓からの眺め
さて、そこそこ酔っぱらってきたし、暗くなってきたし、そろそろ帰るとしますかね。
今日は生憎の天気でしたが、最後に美味しいワインが飲めて幸せ一杯になりました。
めでたし、めでたし。
長白山酒業集団有限公司HP: http://www.cbsgroup.cn/home.asp
吉林・日帰りツアー その2 [街]
お待たせしました、吉林・日帰りツアーの続編です。
北山公園を後にした御一行様は吉林大橋の近くにある吉林天主教堂へ。
松花江(Song Hua Jinag)に掛る吉林大橋(Ji Lin Da Qiao)
北朝鮮との国境に位置する長白山(Chang Bai Shan)山頂にある天池(Tian Qi)と呼ばれるカルデラ湖が源流とされるこの川は黒龍江省(Hei Long Jiang)の哈尔滨(Ha Er Bin)を経てロシアのアムール川に合流します。
天主教堂は吉林市内にあるゴシック様式カトリック大聖堂。1917年に着工、1926年に完成。
残念ながら時間の都合で外から見ただけでおしまい。中も見たかったのに……(号泣)
キリストの再臨!?
ハトさん、いつになったら世界は平和になるんでしょうか……
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我在电视里看过,在东京有好多鸽子是吧? 那个…你吃过吗?
(テレビで見たんだけど、東京には鳩がたくさんいるでしょ? あれ…食べたことある?)
我没吃过。
(私は食べたことない)
为什么? 不可以吃吗?
(なんで? 食べちゃいけないの?)
那是因为和平的象征所以我们都不吃啊!
(あれは平和の象徴だから私らみんな食べないの!)
这样啊。 太可惜……
(そうなんだ。 超もったいない……)
おひおひ、そうやってハトを食べちゃうから世界に平和がこないんでないか?
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次は吉林大路の西側・江南公園の一角にある吉林隕石博物館へ。
むか~しむかし、1976年3月6日の午後3時過ぎ。
東の空から巨大な隕石が真っ赤に燃えながら地球めがけて突っ込んできたそうな。
そいつは高度17000mの上空で爆発。138個の大きな塊と3000個くらいの小さな塊となって吉林市北部に落っこちたそうな。
それらを回収して展示したのがこの吉林隕石博物館だそうな。
詳細はhttp://www.jlsmuseum.com.cn/yunshi.asp (中国語)
隕石博物館の館内
ここには回収された隕石の破片のうち最大級のものが展示されているほかに、当時の写真をはじめとしたたくさんの資料が展示されています。
また、プラネタリウムのような形状の投影室があり、隕石落下当時の様子をシュミレーションした映像を見ることができます。
緑色のライトが点灯しているところが隕石の破片が落下したところ。
その範囲は東西に72km、南北に8kmに及んだとか。
隕石の破片の総回収量は4000kg、最大の破片は重さ1770kg……って、どんだけ?
これが吉林第一号隕石(何だかチョコレート・ケーキに見えません?)
3000ccクラスの乗用車1台分に相当する1770kgの重量は世界最大を誇る。
見たところそんなに重そうには見えませんが、密度というか比重が大きいんでしょうか?
もしも当たったら……(@_@;)こわっ!
これは吉林二号隕石
こうして見ると如何にも宇宙から飛んできましたって感じがしますよね。
こちらは吉林三号隕石
もう一つの隕石が空中に投影されて回転しています。素晴らしい演出。
実は長白山の噴火で飛んできた溶岩じゃないの?などと野暮は言わないように。宇宙の神秘ですからね、これは。
展示されていた当時の写真(1970年代にしては妙に古臭い)を見ると作業者によっては宇宙から飛んできた謎の物体を素手で触っていたようで、放射能とか大丈夫だったんだろうか?と心配になってしまいました。
それにしても落下地点の近所にいた人はさぞかし驚いたことでしょう。
こんなものが飛んでくるなんて、宇宙っていったいどうなっているんでしょう?
やはり生きているうちに一度くらい行ってみたいものですね。
さて、次回は長白山酒業のワイナリーです。
長春・秋便り(その2) [街]
吉林・日帰りツアー その1 [街]
10月16日、長春・香格里拉酒店が企画した『吉林・日帰りツアー』に参加してきました。
このツアーには私のブログに時々コメントをいただく白黒クマさんのお誘いにより参加。
メールや電話で何度かやりとりがあり会社も近所なのに、ご本人にお会いしたのは初めて。
道中は仕事の話や中国情勢をはじめ、趣味の写真やクルマやバイクについてのおしゃべりに花が咲き、楽しいひと時を過ごすことができました。
行き先は吉林市内にある北山公園と隕石博物館。そして吉林市の隣にある蛟河市(Jiao He)にある長白山酒業集団有限公司のワイナリーの見学。
天気は晴れたり曇ったり雨が降ったりの寒い一日でしたが、仕事のことは暫し忘れて旅の気分に浸ってきました。
そんなわけで、その日の様子を写真でお伝えします。
香格里拉酒店の朝
集合時間にはまだ早く、人の気配のないロビー 。
長春唯一の五つ星酒店、一度くらい泊まってみたいなぁ。
長春市から吉林市までは約100km。バスで2時間ほど。
北山公園は吉林市区の西南側、吉林駅と吉林西駅の中間の線路沿いにあります。
北山公園の入り口付近
黒塗りの壁は一見するとシブイんですが、全体を見渡すとあちこちに違和感を覚えます。
例えばそれは仏様の色だったり「佛」の字体だったり……ま、そこが『大陸的』と言えばそうなんですが、そのアバウトな美的感覚に対して不満が募る今日この頃の私です。
「あっ、列車だっ!」
その一声でワラワラと人が集まります。隠れ「鉄ちゃん」は意外と多いのか!?
いやいや、大陸の列車は日本のとは趣が違い、「鉄ちゃん」でなくとも興味をそそります。
ここからはお寺の参道
参道には魔鬼館(お化け屋敷)や小動物園や小水族館などが立ち並び、まるで遊園地。
その前時代的な色褪せた風情がいかにも大陸的でいとおかし。
カメラを構えたら門票(入場券)売り場の婆ちゃんが怪訝そうな顔で「じ~っ」と見るのでビビッてしまいました。別に魂を吸い取ったりしないのに……ということで、写真はナシですorz
北山には小さなお寺が複数あります。これはその一つ。
「玉」、「皇」、「閣」かなぁ……最後の字、達筆すぎて読めません (^^;)
紅と黒のコントラスト!
ところどころハゲてるじゃん!というツッコミはなしってことで(笑)
占い師 只今準備中!
日本では見かけない大陸ならではの色彩感!?
特にプラスチックの椅子と紫色に輝く手提げ袋が景観を損ねてるんですけど……(@д@;)
ここにもお寺が。
お掃除のおじさん
ん~、そこそこ雰囲気あるんですが、そのオレンジ色のライフジャケットみたいな作業着が……
(文句ばっか言ってすみません)
風に揺れる赤ちょうちん。
大陸の人は日本人とは別の意味で「赤ちょうちん」が大好きです。
しかし両者の違いは『祝事』を連想するか、『飲み屋』を連想するかで判別できます。
大陸における紅色の地に金色の文字の組み合わせは日本の「紅白」に匹敵するのです!
次回は『隕石博物館編』ということで!(って、あまり期待しないでください)
南湖夜景 [街]
職人一人に・・・ [街]
春節休暇の過ごし方 [街]
「私は三重の意味で無国籍者だった。オーストリアにおいてはボヘミア人として。ドイツにおいてはオーストリア人として。そして世界においてはユダヤ人として。」
これは作曲家G.マーラーの残した有名(!?)な言葉。
海外で10年も暮らしていると何となく共感できるなぁ……。
大陸での生活にはすっかり慣れたし、日本人ってバレるどころか「你是南方人吧?」(アンタ、南の人だろう?)と言われるほどになった。(単に中国語が訛っているだけ)
それでもやはり異邦人であることには変わりない。
大陸においては日本人として、日本においては中国駐在者として。
要するに、「どっちつかず」になってしまった。
日本に一時帰国した時、会社に自分の机が無い。
家に帰ると自分の物がどこにあるのか分からない。
数年前、私が大陸にいる間に家が引越し、自宅がどこにあるのか分からなくなったこともある。
つまり私は二重の意味で無国籍者なのだ!!!
春節休暇で8日間の放暇(Fang Jia)=お休み。
そして今日(2月2日)は「除夕」(Chu Xi)=大晦日。
中国の「過年」(Go Nian)=(年越し)は家族一緒に過ごすのが原則。
農村から城市(市内)に来ている労働者や外地から来ている大学生はみんな帰省してしまった。
日本人の駐在員や留学生の大半も帰国してしまった。
街は閑散としている。
だから私のように帰国もせずに残っている半端者と遊んでくれる人はいないのである。
「ちっ、つまんねぇなぁ…」と言ってもはじまらない。
だったら旅行でもすりゃいいじゃないの!と思うでしょ?
私だってそうしたいですよ。
でもですね、この時期はフルーツバスケットの民族大移動なので、飛行機の切符は相場がグッと上がるし、列車の切符は長蛇の列で買うのが大変なんです。いや、買えません。
だからどこか旅行でも…と思っても、そうは問屋が卸さない。
かといって、商店街とかは軒並み休業してしまので、下手をすると食料の調達さえままならない。
では、この8日間、いったい何をして過ごせばよいか?
これは春節休暇残留日本人にとって最も難しい問題なのであります。
映画『 非诚勿扰 2 』は元旦節の日に見てしまったし、現地の知り合いも皆帰省してしまったし、同じく駐在のF先輩は風邪でダウンしちゃったし、誰も遊んでくれないよ~っ!
あ゛~っ、どこか遠くへ行きたいなぁ。
このBlogが暫く更新されなかったら、きっとどこかに行っていると思います。
その時は探さないでください。
必ず戻ってきますから。